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キャラクター 方向性:ロール 開催場所:チャット キャラクター:固定選択 パラメータ:「得意」「不得意」の「内容」を個別に設定する【内容変更】 技能:固定3つから「2つ」だけ「選択」【内容変更】 人数:5人。裁判1回でサクっと終わらせちゃう感じ。 マップ:固定マップをいくつか作る 行動:基本的に、「プレイヤーのやりたいこと」をGMが受信して 不可能なことと、ルール違反になる事ならNGを返して それ以外ならGMが自分の頭で考えて処理する感じ 殺人:殺人の判定の際、殺そうとした時に 失敗した場合、「失敗してしまった!」ってなって発覚するのではなく 「しかし思いとどまってしまった!(実行すると失敗してしまうようです)」みたいな感じに こうすれば、既に殺人が起きていた場合、それ以外の殺人に関しては「失敗」の判定を返す なお、一度失敗した場合は5ターンの間殺人実行できない(怖気付いてしまう) 【以下は案】 「」 「」 「」
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きみをくらいつくしてしまうまえに【登録タグ LITCHI き 曲 鏡音リン】 作詞:LITCHI 作曲:LITCHI 編曲:LITCHI 唄:鏡音リン 曲紹介 改名後の三作目。 歌詞 (書き起こし) 君を喰らい尽くしてしまう前に 別れの宣誓を 僅かな 憐憫さえ 消えて無くなるように しょっぱいスナックを 貪ったら 次は甘ったるい アイスが欲しくなる 空腹満たすほど 僕の脳漿は干上がった 何度 大層な賛辞を 頂戴しても 僕は 見えていないようで 虚しくなる 充血 止まらない 僕の眼球は 干上がって 色を失った 愛してるなんて 言葉じゃ足りない モンスターは 今日も一人きり 聖人達を前に 涎を垂らしている 君を喰らい尽くしてしまう前に 僕のこの手を 動かせない様に きつく拘束してよ 君を喰らい尽くしてしまう前に 別れの宣誓を 僅かな 憐憫さえ 消えて無くなる様に 36.5℃の被験者も 耐性が付くほど 鈍感になっていく 快楽の対価に 離脱症状が根を張って こんな「会いたい」という 無機質な言葉も どうも 生臭くて 悪心がこみ上げる 善性の対価を 一つさえ返せやしないまま 利息は積み上がる 献身的な 行為じゃ足りない 最低な 堕天のクロニクル 清廉な顔をして 大淫婦を拝んでいる 君を喰らい尽くしてしまう前に 僕のこの口を 開けられない様に きつく縫い付けてよ 君を喰らい尽くしてしまう前に 別れの宣誓を 僅かな 憐憫さえ 消えて無くなる様に 違う 違う それは 私じゃない 違う 違う そいつは 僕じゃない いない いない あなたはどこにいるの 答えてよ 愛してるなんて 言葉じゃ足りない モンスターは 今日も一人きり 誰かを真に愛せる 瞬間を祈っている 君を喰らい尽くしてしまう前に 僕のこの手を 動かせない様に きつく拘束してよ 君を喰らい尽くしてしまう前に 別れの宣誓を 愛されているだなんて 勘違いしない様に 違う 違う それは 私じゃない 違う 違う そいつは 僕じゃない いない いない 誰もわかっていない 僕らは互いに 喰らい合っている事 コメント ひとつもコメントがない?!のか?!ワイはすごく好きな歌!!! -- 774 (2020-03-16 18 03 44) !????僕も好き 愛してるなんて〜ってとこと違う違うそれは〜ってとこがとくにすここ -- 名無しさん (2020-03-21 23 10 18) 素敵すぎる -- 名無しさん (2020-06-19 22 52 51) 名前 コメント
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一番上が現行スレとなります 記入するときは [[スレタイ URL]] の形でお願いします [[スレタイ URL]] 【安価】やらない夫は異世界に行ってしまったようです【6スレ目】 【安価】やらない夫は異世界に行ってしまったようです【5スレ目】 【安価】やらない夫は異世界に行ってしまったようです【4スレ目】 【安価】やらない夫は異世界に行ってしまったようです【3スレ目】 【安価】やらない夫は異世界に行ってしまったようです【2スレ目】 【安価】やらない夫は異世界に行ってしまったようです
https://w.atwiki.jp/poke-seitai/pages/193.html
●質問 隣の住民がマグカルゴを飼うようになってから暑くて暑くてとても暮らしていけません。 一緒に暮らしているメリープも暑さにやられてすっかりぐったりしています。 何か対策はないでしょうか? ●回答 ・メリープ・・・暑そうですね。頑張ってモココに進化させれば 毛の量が少なくなって涼しいかもしれません。デンリュウまでいけばツルツルです。 氷タイプのポケモンを飼うのも手っ取り早いですね。 まあ一番いいのは、お隣に文句を言うことでしょうが・・・ ・文句を言うにしてもお隣の人の職業にもよりますね。 趣味でマグカルゴを飼っているのなら抗議の余地もありますがブリーダーさんだと少々厳しいかもしれません。 ・でもブリーダーさんであれば、近所のポケモンにくらい気を配るでしょう。 メリープでなくとも暑さに弱いポケモンがいるかもしれないのに 何の冷却対策も無しにマグカルゴを育成するなんて… 言いすぎかもしれませんが、そんなのブリーダーのすることじゃないです。 ということで、私は「隣人はブリーダーではない」説をプッシュ。 ・最近は寒くなってきているから、お隣の方は寒がりで 早めに暖房がわりとして一緒にいるのかも…。 ただメリープとなるとモコモコですからね… 真冬になってもマグカルゴが相手じゃ辛いかもしれませんね。 一度お話してみるのがいいかもしれませんよ。
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今、私はどんな顔をしているのだろう。 一番大切な友達から、自分の恋人のことが好き、と言われて。 怒り?憎しみ? ・・・それとも、恐怖? 色々混じり合って、よくわからない。 こんな気持ちは、予想してはいなかった。 だから、たぶんこんな顔。 ・・・戸惑いの、苦笑い。 みなみ「・・・ごめん」 ゆたか「・・・えっ・・・」 腕の中のゆたかが、私を見上げる。 その顔は、もうボロボロで。 みなみ「・・・私は、何をしたかったんだろう」 ゆたか「・・・・・・?」 ゆたかを、見る。 ゆたかも、私を見る。もう、眼はそらさない。 仮面も、必要ない。 みなみ「ゆたかが、先輩を好きだって気付いた時、苦しくなった」 みなみ「先輩がゆたかのことを好きになっちゃったらどうしようって」 みなみ「不安になって、怖くなって」 みなみ「どんどん、自分が嫌な人間になっていった」 みなみ「先輩は、私を選んだんだって」 みなみ「そんな、醜い優越感に浸って」 みなみ「先輩の隣にいるゆたかが、許せなくて」 自分の思いを、出来る限り口にする。 ゆたかは、口を挟まない。 じっと、ただ私を見つめて、聴いてくれている。 みなみ「今度は、ゆたかに対しても嫌な気持ちになってきて」 みなみ「いつも、世話をしてあげてる」 みなみ「先輩だって、ゆたかのことは厄介な後輩だって思ってる」 みなみ「ゆたかなんか選ぶ訳ない」 みなみ「そんなの、許さない」 みなみ「・・・そんな気持ちが、わいてきて。消せなくて」 みなみ「『違う。そんなこと考えてない。考えたくない』」 みなみ「『ゆたかは、大切な友達。先輩がゆたかを選んだなら、しょうがないんだ』」 みなみ「そんな風に、否定しようとしても」 みなみ「どんなに、振り払おうとしても、できなくて」 みなみ「このままじゃ、ゆたかのことを」 みなみ「・・・嫌いになっちゃう、って」 いつのまにか、私も泣いていた。 自分のため? ゆたかのため? きっと両方。 ゆたか「ごめん」 みなみ「・・・えっ?」 ゆたかが、口を開く。 その眼は、涙で溢れて。 でも、とても、キレイに思えた。 ゆたか「みなみちゃんが、こんなに苦しんでるなんて、思わなかった」 ゆたか「・・・こんなつもりじゃ、なかったの」 ゆたか「ただ、先輩の隣に入れたらいいや、って」 ゆたか「みなみちゃんも、それくらい許してくれる、って」 ゆたか「そんな、甘い気持ちで」 ゆたか「なんて、自分勝手で」 みなみ「・・・ゆたか」 ゆたか「聞いて」 圧されるような、強い視線。強い意志。 そうだ、私の言葉は必要ない。 次は私が聴く番。ゆたかの思いを、想いの全てを。 ゆたか「・・・私も、同じ」 ゆたか「悩んで、苦しくなって」 ゆたか「みなみちゃんに、嫉妬して」 ゆたか「こんな自分が嫌で」 ゆたか「こんな風に考えちゃう自分が、気持ち悪くて」 ゆたか「だから、考えるのをやめたの」 ゆたか「何も考えなければ、苦しくないから」 ゆたか「ただ、先輩の隣で、みなみちゃんのそばで」 ゆたか「楽しく笑って居れたら、それだけでいいや、って」 そうだ。 ゆたかは、笑っていた。 ふたりで私を、からかって。 先輩に、撫でられて。 触れ合う私たちを、見つめて。 それでも、ゆたかは笑っていた。 ゆたか「でも、結局それって、甘えだった」 ゆたか「みなみちゃんに、甘えて」 ゆたか「先輩に、甘えて」 ゆたか「何より、自分に甘えてた」 ゆたか「そんな自分のことだって、正当化しようとしてた」 ゆたか「みなみちゃんは、こんなに苦しんでたのに」 甘えてたのは、私だ。 ゆたかが先輩を好きなのを知って、勝手に嫉妬して。 見せつけていたのは、私。 許せない? 嫌な気持ち? 嫌われるかもしれない? 何様のつもりだ。 とっくに、嫌われていてもおかしくないんじゃないか。 ゆたか「・・・ごめんなさい、みなみちゃん。許してくださいとは言いません」 ゆたか「・・・もう、先輩の側にはいません」 ゆたか「想うことも、やめます」 ゆたか「願うことも、やめます」 ゆたか「だから、もう、苦しまないで」 ゆたか「みなみちゃんが苦しむのは、もう、嫌だから。」 みなみ「・・・・・・ゆたかっ!!」
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桜藤祭。こなたさん達は歓喜に浸っていた。 「みんなお疲れーーーー!」 「なんとかうまくいったわね」 「拍手すごかったよねぇ」 「そうですね、とてもよかったですね」 チアダンスが成功し、各々喜び浸っているところに俺が出向く。 「みんな、お疲れ様。すごく良かったよ」 みんながありがとう、とお礼を述べてくる。みんないい表情をしている。 ふと、岩崎さんが俺に言う。 「えっと・・先輩も、がんばって・・・ください」 「あぁ。みんな、楽しみにしといてくれよ!」 そう、俺もこの桜藤祭で出し物をするんだ。学校の友人を集めて、バンドをやるのだ。 こなたさんがアニソンやるの?と聞いてくる。 するか!そんなの! しかし俺は今日、ある決意を胸にこの桜藤祭を迎えているのだ。 ある人に想いを伝える・・・。 そして、出番がやってくる・・・。 出番10分前。やはり緊張はするんだなぁ・・・。 1組に与えられた時間は20分。単純計算して、3曲はいける。 ちなみに俺はヴォーカルである。 出番5分前。メンバーの一人が、舞台のそでから客席を見てみる。 「やっぱりいっぱい入ってるぞ」 生徒の座っている席を、目を凝らして見ていく俺。・・・いた。 想いを告げる人のいる場所を確認する。し終わると同時に、白石のアナウンスが響く。 「え~みなさん。楽しかった生徒の出し物も、次が最後です」 一気に緊張が高まる。幕を隔てて、もう向こうには何百人という生徒がいるのだ。 「こなたさん達、こんな空気のなか踊ってたのか・・・」 そう考えると、負けられない気持ちが湧いてきた・・・。 「よっしゃ!楽しもうぜ、みんな!!」 メンバーにそう声を掛けると、おぉ!という気合。 「3年生男子4人組、BATTです、どうぞ!!」 幕が上がっていく。同時に、歓声が耳に届く・・・。 見渡せば、こなたさん達は手を振ってくれている。それに応える俺。 ギターのチューニング音が、体育館に響く。 そして、始まる・・・。 ドラムの激しいリズムに合わせて、ギターとベースが続く。 客席を見れば、こなたさんと田村さんとパトリシアさんが目を輝かせている。 そりゃそうだ。1曲目は、アニメの主題歌にもなった曲だ。 アジカン、「リライト」 みんな割とのりが良く、1曲目から盛り上がってくれた。 演奏が終わると、一応リーダーである俺がメンバー紹介をしていく。 一通り紹介も終わったところで、2曲目に入る。 2曲目は、こなたさんからのリクエストに応えた感じになる。 再びこなたさん達の目が輝く。2曲目もアニメの曲だ。 涼宮ハルヒ(平野綾)、God Knows… 元々俺もお気に入りの一曲だったので、なんの抵抗もなく歌えた。 2曲目になると、もう生徒達もノリノリだ。手拍子も凄い音に聞こえた。 2曲目も終わった・・・。ついにその時がきた・・・・ 「え~、次が最後になります」 そう言うと、会場からえぇーーー!という声。ちょっと嬉しかった。 といっても、俺にはいま、やらねばならない事がある。それをやらないと、今回出た意味がないのだ! 「最後の曲は、ある人に対する・・・俺の気持ちを唄います」 メンバー達は?の顔。この事は、メンバーにも内緒にしておいたんだ。 「今日俺は、この場でその人に・・・告白したいと思います」 会場、一気にヒートアップ!!メンバーもヒートアップ!! 見てみればこなたさんはニヤニヤしてる、かがみさんはビックリ顔、つかささんは紅くなってる、みゆきさんはオロオロしてる。 男子生徒が大声で聞いてくる・・・。 「その子のどこが好きなのーーーーー?」 「わかんねぇ。でも、ひとつだけ言えるのは・・・世界中の誰よりも、その人を愛してるってことだけだ!」 沸き返る会場。先生も慌てふためいている。でもそんなの関係ねぇ! 「1年D組!」 おぉーーーーー!と、再び沸く会場。そして、会場中の視線が、1年D組に注がれている。 そして・・・その子の名前を叫んだ・・・ 「1年D組・・・・・岩崎みなみさん!」 みなみの名前を叫び、みなみの居る方を見る。 会場はなんともいえない熱気に包まれている。 肝心のみなみは・・・驚きを隠しきれず、顔を紅くしていた。 俺が言葉を言おうとすると、会場はシーン・・・。みんな空気をちゃんと読んでる・・・。GJ! 「大好きです!一生幸せにします!ずっと・・・ずっと一緒にいてください!」 言えた。みなみが入学してきてから、ずっと言えなかったことを言えた。 それだけで十分に満たされていた、不思議な感覚だった。 みなみの返事が帰ってきた・・・。手で・・○・・・。 みなみの為に唄う、最後の曲。 「愛唄」
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太陽をつかんでしまった(前編) ◆tu4bghlMI 「初めはね……ボクとことみちゃん以外に恋太郎さん、それと四葉ちゃんって娘がいたんだ」 「四人、ですか」 時雨亜沙が力無く、一度だけ小さく頷いた。 さすがに人の生き死にの話ともなるとお得意の能天気さも発揮出来ないらしい。 無意味にイライラさせられない分だけ、ソレは望ましい展開。 いっそこのまま永遠に黙っていればいいのに。 余計な人間が若干名存在するものの、この島に来てから探し続けていた人物の一人である一ノ瀬ことみと接触出来たのは僥倖だった。 彼女はこの忌々しい首輪を何とかする事の出来る可能性を持つ、いわばキーパーソン。 他にそのような能力を持った人間が確認出来ない現在、能力的なヒエラルキーでも相当な上位に食い込む人間だ。 ひとまず彼女との仲を取り持ちつつ、エリーと合流する。コレが現在の最適解だろう。 しかし、そう考えるとやはり残りの二人、時雨亜沙と……先程から最前列を歩き、用心深そうにこちらを伺っている大空寺あゆが邪魔になって来る。 特にこの時雨亜沙の存在は厄介だ。 まず一点。彼女が完全な怪我人であるという事。 左肩には何か巨大な刃物で切りつけられたと思しき裂傷。 出血こそ大してしていない様だが、本人の痛みは相当なものだろう。歩みを進める度に伝わってくる振動に何度も顔を顰めている。 加えてその疲労。先程まで眠っていたとはいえ、身体への負担は相当なものだろう。 未だに足並みは覚束ず、そのため私達が移動する速度も極端にスローペースなものになってしまっている。 そして何よりも気に食わない、いや私にとってマイナス方向に働くのは、今も時雨亜沙に対して一ノ瀬ことみが積極的に肩を貸して歩行しているという事実。 つまり彼女達の中に刻まれた"絆"という奴だ。 先程も自分の方が遥かに小柄にも関わらず、一ノ瀬ことみは自ら時雨亜沙の身体を支える役割を買って出た。 逆に時雨亜沙も自分に支給されたマシンガンを予備のマガジンごと相手に預けるなど、全幅の信頼を寄せている。 もちろん、両者は出会ってからまだ数時間程度しか経ってはいないだろう。 そんな関係は急ごしらえのプレハブ小屋のように脆い存在ではある。 とはいえ彼女達は話を聞くに、ゲーム開始時から今まで、ほとんど全ての時間を共に過ごして来たらしい。 初めは四人で行動していたものの、様々な逆境の中で一人、また一人と死に絶えていき、ついにその連環は二人を残すのみとなった。 コレが時雨亜沙と一ノ瀬ことみの関係。 『溺れる者は藁をも掴む』 急激な環境の変化、死との遭遇。 コレだけの非日常的要素が重なれば普通の人間にとって単身で自らを支え切る事など不可能。 当然の如く、周りにいる人間に依存する心が芽生える。 幾つもの死線を越えた兵士達は絆を超えた何かで結ばれる、そんなものは陳腐な戦争映画の煽り文句に過ぎない。 今までならば一笑の元、切り捨ててしまうような下らないコピーとしか思えなかっただろう。 だが、今は違う。 特殊な状況で何よりも大切なものは柔軟性。 場面の変化と共に自らのスタンス、立ち位置を調節し上手く立ち回る事。 誰もが私のように『攻める人間』になる事が出来るとは限らない。 世の中にはその場で知り合ったような人間と、傷を舐め合うのを美徳とするような弱者だって大勢溢れているのだ。 そして今はその弱者が私にとっては必要。 そう、レオ君の死を乗り越えた私にとってエリーとこの環境から脱出することは至上命題とも言える。 そのために一ノ瀬ことみの力は欠かせない。 だが、そのためには時雨亜沙を彼女から切り離さなければならない。 私には何も特別な力を持たない弱者を庇護する趣味は無いのだから。 だが彼女達が握り締めたその手を離す事は無いだろう。 そう"余程の事が無い限り"は。 何か……二人の間に亀裂が生じるような好機さえあれば良いのだが。 正直、そうそう何もかもが上手く行くとは思えない。 逆に『策士策に溺れる』とも言う言葉があるくらいだ。 「四葉ちゃんはハクオロという男に、恋太郎さんは……えと」 「あ、う、少し、少しね。恋太郎さんが私達から離れたの……多分、その間に」 一ノ瀬ことみがぼそぼそと言葉を濁らせる。 どこか途中で話の内容を考えるような仕草を取った気もしたが、まぁ特に問題無い。 おそらくは肩を貸している疲れと焦燥感が原因と言ったところか。 ソレよりも面白い名前を聞いた。 あの小太りの男、大石が口にした『危険人物』の名前だ。コレは使えるかもしれない。 「ハクオロ……それって奇妙な仮面を付けた……?」 「知っているんですか!?」 瞬間、時雨亜沙と一ノ瀬ことみの表情に陰が差す。 陰鬱で、何か思い出したくない事象を無理やり頭の前面に引っ張り出されたような、それでいて憎しみに満ちたそんな表情。 「ど、どこで会ったんですか!! ……もしかして何か……?」 先程のまでの疲れ切った顔付きとはまるで別物。 時雨亜沙が身を乗り出してこちらに質問して来る。 逆に一ノ瀬ことみは表情を顰めたまま。どちらかと言えば自らの中の闇と戦っているような印象を受ける。 おそらくまだ自分の中で仲間の死を整理出来ていないのだろう。 そう考えると彼女のどこか自責の念に満ちた重苦しい面構えも納得出来る。 「ええ、私も……仲間を殺されたの」 「「!!」」 二人の表情が凍り付く。 脇目で確認すると、前を行く大空寺あゆもコチラにチラチラと視線を送ってくる。 特に一ノ瀬ことみは"私が言った台詞"によほど衝撃を受けたのか、瞳を白黒させ、一気に落ち着きを無くしてしまった。 順調。おそらく誰もが騙されている。 私はハクオロが危険人物であるという情報こそ掴んでいるものの、実際に面識は無い。 彼がこの先、私の目の前に立ちふさがる可能性がある以上マイナスイメージを植えつけておく事は効果的だろう。 実際、既に何人かの人間をその手にかけているようだし。 それにおかしな話だ。 私にとってこの島にやって来てから、いや普段学校に通っている時でさえ、心の底から仲間と呼べる人間なんてほとんどいなかったのに。 「ご、ゴメンナサイ!! あの、そんな事……」 「いいの、もう大丈夫。自分の中でもそれなりに整理が付いたから。 それより早くこの辺りから離れる事の方が大切じゃないかな」 時雨亜沙がまた、小さく頷いた。そして下げた視線を自らの両足に向ける。 その後、凝視。若干の沈黙。僅かな逡巡の後、彼女は唇をキツク噛み締めた。 その通り。 この集団の移動速はあなたに合わせたモノ。 まだ全然大した距離を進めていないのも、全てあなたのせい。 少しは反省して貰いたい所。 ……そういえば自分達はどこに向かっているのだろう。 確か、時雨亜沙が寝ていた場所が……D-4だったか。 集団の先頭は完全に大空寺あゆに任せてしまった。 実際彼女は健康そのものであったし、語気も強く集団の中でアドバンテージを取るタイプに見えたからだ。 だが、彼女は危険だ。 ここまで殺し合いが始まって約十一時間。 それだけの時間、完全に一人で行動し続けて来たのも不思議だし、自分の事を話そうとしないのも不可解だ。 私のように嘘を交えて適当に場を誤魔化すなど、やり方はいくつもあるはずなのだから。 隙さえあれば弾丸の一発でもその背中にお見舞いしてやりたい所。 だが、いくら何でもそんな行動を取る訳には行かない。 「ちょっと待って」 突然、大空寺あゆがその歩みを止める。 私達も言葉通り、その場で停止。 どうしたのだろうか。何か妙なものでも見つけたのか。 思わず、辺りを見回す。地図を頭に描く。 地図……? まさか、いやもしかしてこの場所は――。 「なんかさ、臭わない?」 ■ 『ええ、私も……仲間を殺されたの』 ことみはとんでもない衝撃を受けた。 酷い、デジャヴだ。 なにしろ彼女、佐藤良美が口にした台詞は数分前の自分のソレとまるで同じだったのだから。 そして引き合いに出した相手まで同じ人間。 こんな偶然があっていいのだろうか。 あの時の後悔、葛藤、それら全てが蘇って来る。 関係の無い人間に罪を擦り付ける感覚。 可愛げのある、些細な嘘などではない、人の命を左右するような深刻なソレ。 何を悩む事があるのか。 確かに今の今まで、ハクオロが本当に人殺しであるか疑う自分は存在していた。 だが、良美の告白によってその可能性は木っ端微塵に砕け散ったはずだ。 『ハクオロは紛れも無い人殺し』 四葉ちゃんもカウントに入れるのならば、既に少なくとも二人の人間をその手に掛けた事になる。 そう、コレが共通認識。ソレが全て。 だがもう一つ。腑に落ちない点もあるのだ。 それは――。 「ちょっと待って」 前を行くあゆさんの動きが止まる。 私と亜沙さんも停止。 同時に頭の中で展開されていた"ある可能性"についての分析をストップする。 もしもこの仮定が真実だとすれば、この場における人間関係に一瞬でとんでもない亀裂が生じる事になる。 隣を歩いていた良美ちゃんも怪訝そうな顔で前を見つめている。 あゆさんがこちらを振り向いた。 そして鼻を押さえながら一言。 「なんかさ、臭わない?」 ■ 臭い。 臭い……? 「あっ! 確かに何か臭うね。うーん、何か、すっぱい感じ……?」 場の空気を紛らわすために思わず大きな声を出してみた。だけど雰囲気は淀んだまま。 ボク、時雨亜沙がこの集団のマイナスファクターになっているのは純然たる事実。 だから少しだけでも、皆を明るくしたかった。結果は見事な空回りだったケド。 でも、確かにあゆちゃんの言う通りだった。 緑の芝生と背の高い木々。完全に昇った太陽の光が時折差し込む、気持ちの良い森林。 周囲にはマイナスイオンやら純度の高い酸素なら散らばっているかもしれないが、こんな悪臭の原因がそうそう転がっているとは思えない。 ボク以外の二人、ことみちゃんと良美ちゃんも臭いに気付いたみたい。 キョロキョロと辺りを見回している。 「あにさ、この臭い? プラスの何かじゃない事は分かるけど……。それにどこかで嗅いだ事があるような」 「うん、確かにそう……だね」 鼻に来る嫌な臭い。 しかも一種類だけではない。何か数種類のものがブレンドしたような感じだ。 何か硬質的な感じのものと生臭い感じのもの。 どちらかと言えば前者の臭いの方が全然強い。 何だろう、これは。 絶対自分はコレが何かを知っている、はずだ。 知って、いる? 「血……」 これは誰の台詞だったのだろう。 ボクの口から思わず零れ出てしまったような気もするし、他の誰かが言ったような気もする。 分からない、分からない。 でも分かる。うん、コレは血の匂いだ。 赤血球と白血球、そして少量の血小板によって構成された人間の身体を構築する最も大切な骨子。 その存在に気付いた途端、ボクの中の感覚が更にその鋭角を増した。 鼻に掛かる程度だった臭いが心を掻き乱す。 料理部の活動で使ったり、お母さんと一緒に料理をする時に軽く鼻腔をくぐる血の臭いなんかとは比べ物にならない。 濃くて、淀んだ何かが胸に込み上げて来るような臭気。 一瞬のサイレンス。静寂が辺りを支配する。 誰とも無しにボクらはまた歩き出した。何も考えずに。 いや、何かに導かれていたような気さえする。 肩を支えてくれていることみちゃんの身体が明らかに強張っている事が分かる。 先頭を行くあゆちゃんも前を向いているから表情を確認するのは不可能だが、周囲の雰囲気がピリピリしているのは確実だ。 良美ちゃんは……何だろう。顔が真っ青だし、目も虚ろ。 うん、もしかしてこの臭いに気分を悪くしたのかもしれない。 ボクが言える立場じゃないけど、出来るだけ気を遣ってあげなくちゃ。 ボクらは進む。一歩、また一歩と着実な歩みのまま。 静寂に包まれた森の中、道なき道をただガムシャラに。 もしも今が夜だったならば生い茂る木々の合間から月の光が覗いてさぞ綺麗だっただろう。 森が一瞬、開けた。 完全な平地と言うには少々物足りない。 それでも"何人かの人間が腰を落ち着かせる"のには絶好の場所。 少女が、太陽の光を浴びて、死んでいた。 ■ 唇が酸素を求める。 まるで世話のなっていない水槽に入れられた金魚のように、パクパクと開閉を繰り返す。 何も入ってこない。出ていかない。 瞳に飛び込んだのは光。 今まで歩いてきた道程と比べれば、確実に軍配が上がるであろう暖かな光の雨。 死。 明確で狂おしいまでの命の否定。 日常から遥かに乖離した生の終着点。 「杏……ちゃん?」 ことみちゃんが可哀想になるくらい、震えた声でそう呟いた。 ボクも何か喋らなくちゃ。 頭はどれだけそう命じても、言葉は出てこないし、何より全く口が回らない。 「杏ちゃん!!」 ちょっとだけ乱暴にボクの腕を振り払って、ことみちゃんが駆け出す。 身体が僅かだけどグラつく。倒れそうになる。 今まで完全に彼女に頼り切っていたせいで、バランスが上手く取れない。 近い。地面に、ぶつかる。 そう思い、眼をつぶった瞬間。あゆちゃんがギリギリでボクの身体を受け止めてくれた。 「あ、ありがと……」 「お礼はいいから。……一人で立てる?」 「う……うん」 「分かった。それと……今から少し黙っていて」 あゆちゃんの雰囲気に威圧されて思わずボクは一度、頷いた。 何か、凄く怖い顔をしていた。 どうしてだろう。まるで何かに怒っているような、そんな嫌な感情に満ちた面持ち。 もしかしてことみちゃんがボクを突き飛ばした事に腹を立てているのだろうか。 でも確かに少し危なかったとはいえ、その行動を責めるつもりは毛頭無かった。 だって――。 「杏ちゃん!! なんで……こんな、酷い……」 人が死んで我を忘れて、取り乱してしまう事に何の問題があるだろう。 大切な、自分に近い人間が亡くなって悲しくない人間なんているはずが無い。 ことみちゃんも勝手に流れてくる涙をこらえながら、必死でその死と相対しようとしているではないか。 そう、確かにボクらは知っていた。 第一回放送の時、死んでしまったのは恋太郎さんにとっての大切な人である双樹ちゃんだけじゃない。 ことみちゃんの友達である杏ちゃんと言う娘も命を落としていたのだ。 この涙はただ身近な人間の死を嘆くだけのモノじゃない。 だって、こんな死に方、あまりにも酷過ぎる。 ボクらが死体に出会ったのは一度だけ。 いや、ことみちゃんは二回目……だったっけ。 でもボクが見た四葉ちゃんの死に姿は、決して苦痛や悲しみに塗れたものじゃなかった。 まるでずっと探していた大切な誰かと再会出来たみたいに、安らかな表情をしていたのだ。 でもこの杏ちゃんは違う。 その姿は血で出来たウォーターベッドに無理やり寝かせられていると言ってもいいくらい。 全身を赤い飛沫で濡らし、特に喉もとの出血具合は思わず目を背けたくなるような惨状だ。 表情も開き切った瞳孔、死の寸前まで何かを叫んでいたのかと思えるほど開かれた口蓋。 悲しみ、絶望、苦痛。そんな負の感情に満ちた最悪の最期。 気分が悪くなる。 一面、血、血、血、だ。 絶対的な朱。脳内を埋め尽くす紅。 このまま倒れてしまえば、こんな現実から逃げる事が出来るのだろうか。 そんな考えが頭に浮かぶ。 本当に人は精神が支えている生物だという事を改めて実感する。 だって、例えばこの自問自答にもしも『イエス』と答えてしまえば、その瞬間自分の身体が崩れ落ちる事に拠り所の無い確信が持てるからだ。 「……おい、アンタ」 「……え?」 「いい加減止めようや、そんなバレバレの芝居は」 心が挫けそうになる寸前、そんな意味が分からない言葉で一瞬で現実に引き戻された。 発言者はあゆちゃん。その言葉の矛先は……ことみ、ちゃん? 芝居? どうして? ことみちゃんは杏ちゃんの死体を見かけて、それで、こんなに悲しんで。 本当に今、辛いはずの心を一生懸命奮い立たせているのに。 「あゆちゃん!!」 「時雨、黙ってろって言ったはずさ。話があるのはアンタよ、一ノ瀬ことみ」 「……いいの。ありがとう、亜沙さん」 杏ちゃんの側に屈み込んでいたことみちゃんがすくっと立ち上がり、コチラを振り返る。 赤。 乳白色の厚手のブレザーが、杏ちゃんの流した血で濡れていた。 あゆちゃんが一歩前に出る。 「その血、お似合いの姿ね」 「……あゆさんが何を言いたいか分からないの」 「へぇ、あくまで白を切るつもり? 懺悔は自分からするからこそ意味があるのよ」 流れる険悪なムード。睨み合う二人。 あゆちゃんの若干後方、少し離れた所にボク。 ボクらの大分後ろ、最後尾に良美ちゃん、という構図だ。 「ま、いいわ。さすがの私もアンタのその最悪な行動にもう耐えられないから」 「どんなつもりか知らないけど、多分あゆさんは何か、勘違いしているの。 私にそんな糾弾される謂れは無いはずだから」 ことみちゃんがハッキリとした口調でそう告げる。 瞳はまっすぐあゆちゃんを正視。 「あたし、さ。見たんだよね。双葉恋太郎が殺される所」 「!!」 「身体中から血を流して……死んでいた。しかも、この女の死体なんて生温いくらいに損壊して、ね。 ありゃあ、酷いもんさね。あんな死体間近で見たら、私も平然となんてしてられないね」 「…………」 突然の告白。あゆちゃんの語調はどんどん強くなる。 そんな話を聞くと、恋太郎さんと死のイメージが露骨に繋がってしまう。 嫌だ。嫌だ。気持ち、悪い。 「ダンマリか? まぁ構わないけどね。……でも変な話さ。 だって今、その女の死体を見てそれだけ動揺していたアンタが、恋太郎とかいう男の死体の前じゃ顔色一つ変えなかったんだから」 「う……」 「予想外の知り合いの死はショックだったけど、予定調和の死には耐性があった、って感じかね」 「そんな事は……」 「じゃあ説明してみろや! 何であの時、アンタはこれっぽちも取り乱さなかった? 生半可な答えじゃ私は納得しない。最悪……コレで、アンタを撃つ」 そう言うとあゆちゃんがデイパックから取り出しのは――黒光する鉄の凶器、拳銃だった。 思わず息を呑む。この場に一瞬で広がる動揺。 数メートル先のことみちゃんも軽く身構える。 後ろにいる良美ちゃんは……駄目だ、分からない。こんな状況で背後を確認する事は出来ない。 「S W(スミス&ウェッソン)M10……通称、ミリタリー&ポリス」 「正解、まさにリボルバーの代表格さ。さすがに人殺しは銃にも詳しい、って事?」 「……ご本で読んだの」 「どうだか。さてと、それじゃあ解答を聞こうか。 もし、カバンの中のマシンガンに手を伸ばしたら……どうなるか分かるよね?」 駄目だ、止めなければ。 ことみちゃんが恋太郎さんを殺した? まさかそんな可能性は皆無に近い。 ボクらはずっと今まで一緒に困難を乗り越えてきた。 もしもことみちゃんにそんな隠された殺意があったとしたら、ソレを実行に移す、もっと確実な機会はゴロゴロしていたのだ。 有り得ない。どう考えても勘違いだ。 「あゆちゃん、こと――」 「恋太郎さんを殺したのは楓、芙蓉楓なの」 ――え? 「……誰? もう少し詳しく」 「私達はあなた達と出会う少し前、襲撃にあったの。その結果、亜沙さんが倒れてしまった。 その……外傷とかじゃなくて"魔法"を使ったのが原因で」 「真面目に……答えろや」 ――楓、楓が? 恋太郎さんを? 「至って大真面目なの。 私のデイパックの中に支給された『参加者の術、魔法一覧』というご本を見れば全て分かるの」 「……分かった。続けな」 「その後、気分が悪くなった恋太郎さんが少し私達から離れたの。その時、現れたのが芙蓉楓。 彼女は明らかにおかしかった。彼女こそ"本物の"殺し合いに乗った人間だったの」 ――何? 何を言っているの、ことみちゃん? 「既に何人か殺してたって事?」 「確か……鉄乙女、という人間を殺したと言っていたの。でも私には彼女を止める事は出来なかった。 ただ……自分が殺されないように怯える事しか出来なかった」 「証拠は?」 ――だって、楓、楓だよ? 虫一匹殺せないような、あの優しくて、すこし抜けてる所がある、あの楓だよ? 「最悪、恋太郎さんの死体を見れば分かるの。 死因は私が持ってるマシンガンの弾じゃない、ハンドガンの弾なの」 「……ソレが本当なら……人殺しはその芙蓉――」 「嘘、でしょ」 「え?」 今の間の抜けた声はどちらの声だったのだろう。分からない。 まぁ、いいか。 何かがボクの口の中から零れた。 二人がコチラを振り向いた。 凄く意外そうな、驚いた顔をしている。 ボクの胸が少しギュッと苦しくなった。 でも止まらなかった。 「もう、やだなーことみちゃんったら。そんな嘘言ってもお・見・通・しだぞ? アハハ、楓が人殺しなんて……無い無い。 虫一匹殺すのだって躊躇うようないい娘なんだから。冗談キツ過ぎ」 「亜沙さん……」 ことみちゃんが何か変な眼でコチラを見つめている。 何で? どうして? ボク、何か変な事言った? 間違ってる? 「それに……ことみちゃんも酷いよ。 シアちゃんも死んじゃって、リンちゃんが殺し合いに乗っていた。それだけでもボク、相当ショックだったのに。 オマケに楓まで人殺し? それが本当ならボク、周りの人間が誰も信じられなくなっちゃうよ……」 「……亜沙さん。信じたくないのは分かるの。 でもだからって真実から眼を背けちゃ……ダメなの」 ことみちゃんがコッチに近付いて来る。 真実って何だろう。つまり、楓が人殺しだって事? それが本当だって、ことみちゃんは言いたいの? 確信を持って? 真実だって? 「……そこまでさフリーズだよ、一ノ瀬ことみ。胡散臭すぎさ、アンタ。もう我慢できない」 「な……」 「色々聞いてみたけど、そう簡単に人がぶっ壊れるかどうかなんて正直分からない。 それに……私にとってはアンタの言葉よりも時雨の言葉の方が信憑性がある」 「そんな……亜沙さん、何とか、何とか言って欲しいの」 再度拳銃が向けられる。 一方で、ボクの方を見つめてそう訴えることみちゃん。 あゆちゃんは銃を向けたまま、眼の前に立ちはだかるように直立。 ボクは、どうすれば……。 「みんな大切な事、忘れてるんじゃないかなぁ」 「ぐあああぁっぁ!!……ぅ……佐藤、あんた……!?」 この空間では今まで二つの銃が争点になっていた。 あゆちゃんが持っているS W M10というリボルバー。 そして今はことみちゃんのデイパックの中にあるイングラムM10というマシンガン。 どちらもその存在と、威嚇だけで実際に発砲されてはいなかった。 一番最初に火を吹いたのはそのどちらでもなかった。 第三の銃。その持ち主は――。 「全く三人とも私を無視して話を進めちゃって。気に入らないなぁ」 佐藤良美。 ずっと黙り込んでいた彼女がついに、その重い口を開いた。 そう、一発の銃声と共に。 そしてその放たれた弾丸は――あゆちゃんの背中へと消えた。 あゆちゃんが激痛に耐えかねて地面に倒れ込む。 ギリギリ、完全に寝そべってしまうまでは行かない。 軽く状態を起こし、背中を良美ちゃんに向けて、きつく彼女を睨み付ける。 「ぐ……どういう……つもり?」 「分からないかなぁ。この集団の中でアナタだけが"異質"だって事」 「づぅぅあああ!!」 更に二発、銃声が轟く。 一発はまたしてもあゆちゃんの背中へ。もう一発は外れた。 いたぶるように、黒い服で覆われた背面に向けて弾丸を叩き込んでいく。 「S W M36、通称……チーフスペシャル」 そうことみちゃんが呟いた。 チーフスペシャル。恋太郎さんが最初に持っていた銃と同じ名前だ。 一歩、一歩と良美ちゃんがあゆちゃんに近付く。 右手の拳銃はしっかりと構えたまま。 一方で、ボクとことみちゃんは凍りついたままだ。動けない、動けるはずが無い。 リンちゃんが襲い掛かってきた時は、まだあちらの武器は刃物であって銃では無かった。 それに相手の意図が明確な分、対処もしやすかった。 だけど。 彼女が何を考えているのか、ボクらにはまるで分からないのだ。 「だってそうでしょ?ことみちゃんに敵意を持っているのはアナタ、だけ。 私も亜沙さんもそんな意思、これっぽちも無いもの」 良美ちゃんはボクとことみちゃんに笑い掛けてきた。 物凄く良い笑顔のはずなのに……何だろう。このモヤモヤした気持ちは。 何故か彼女の濃い黄緑色の瞳の中に、全身に鳥肌が立ってしまいそうなくらいの濃密な暗黒が込められているように感じた。 「分かった?アナタが死ねば、全て丸く収まるの。 ことみちゃんを人殺しに仕立てあげたいみたいだけど……私から見たら、人殺しはどう見てもそっちの方」 良美ちゃんがあゆちゃんの目の前で立ち止まる。 拳銃をその額に合わせる。 「良美……ちゃん」 「黙って、亜沙さん。あなただってことみちゃんを殺されるのは嫌でしょう? それに……私が言うのも何だけど彼女、もう助からないわ」 「そりゃあ……でも、だからって、こんなの……酷いよ」 コレがボクの精一杯の反論。 確かに良美ちゃんの言う通り。 あゆちゃんにもことみちゃんにも、勿論どちらにも死んで欲しくない。当たり前だ。 でも。 賽は既に投げられた。 あゆちゃんの身体は既に弾丸を食らってボロボロ。 放っておいても出血多量で死んでしまうかもしれない。 そして逆に、このまま彼女にトドメが刺されなければ確実にその被害はことみちゃんと良美ちゃんに向く事になる。 嫌なのに。目の前で人が死ぬ事なんて、もう絶対に見たくないはずなのに。 ……魔法さえ使えれば。 でも今はダメだ。もう魔力がこれっぽちも残っていない。こんな状態じゃ……人の命なんて救えない。 「フフ……最期に……一言いいかい?」 「遺言?どうしようかなぁ……。ま、別にいいよ。どちらにしろ長くない命だしね」 「っ……すまんね」 あゆちゃんが全身を震わせながらそう吐き出すように口に出した。 完全に満身創痍だ。 勿論拳銃は既に掌から零れ、どちらかと言えばボクの方が近い場所に投げ出されている。 背中は血液こそ流れ出してはいないものの、弾丸を二発も打ち込まれて平気な訳が無い。 語調も先程までの凛々しく、芯の通った喋り方ではなく、所々に喘ぎ声が混じる。 一瞬の間。 あゆちゃんは瞳をゆっくりと閉じる。 僅かながら顎をあげ、そして最後の一言を呟いた。 口元に、最高の笑顔を浮かべながら。 「死ねや、糞虫」 太陽が爆発した。 105 武人として/鮮血の結末 (後編) 投下順に読む 106 太陽をつかんでしまった(後編) 105 武人として/鮮血の結末 (後編) 時系列順に読む 106 太陽をつかんでしまった(後編) 098 交錯する意志 佐藤良美 106 太陽をつかんでしまった(後編) 098 交錯する意志 一ノ瀬ことみ 106 太陽をつかんでしまった(後編) 098 交錯する意志 大空寺あゆ 106 太陽をつかんでしまった(後編) 098 交錯する意志 時雨亜沙 106 太陽をつかんでしまった(後編)
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828 :名無しさん@秘密の花園:2009/08/08(土) 01 14 05 ID JQUefhPW ここではあまりネタにならない池田SS投下 池田×キャプテン、池田視点 他キャラも登場 池田失恋物注意 思い出にしてしまえるさ 私の好きだった人は、女神のような笑顔、聖母のような包み込むやさしい心で私を癒してくれた。 その人は、自己犠牲の愛情を持ち、その外見からは想像し難い確固たる勇気もあった。 その人は、すべてが私の憧れであり、目標だった。その人も私を大事に思ってくれた。 その人は、いつも涙を流していた。いつも私の知らない誰かを想っていた。 私がその人と特別な関係になったのは、私が高校二年のとき、だから去年のことだった。 今までも私たちは仲が良かったけれど、私はもっとその人と仲良くなりたかった。 だからいろんなところに誘った。いろんなことをして遊んだ。そしてこう言った。 「私と付き合ってください。今までの母親のようではなく、恋人として私に接してください」 勇気を出して言ってみた。不安や恐怖、心配があった。でも、その人はいつもの笑顔で言った。 「私のほうこそよろしくね。華菜。その言葉、とてもうれしいわ」 私、池田華菜、これまで十七年間の人生の最高の瞬間だった。 それからのその人との時間は今まで以上に私を癒してくれた。私は何をしていても楽しかった。 その人と食べに行く料理もその人が作ってくれる料理も今まで以上においしく感じた。 私は幸せに慣れていなかったので、この幸福が崩れてしまうことなど考えてもいなかった。 8月、私たちは街でデートしていた。最近は手をつなぎながら歩くようになっていた。 ふと前を見ると、私たちと同じようなシチュエーションの奴らがいた。 そしてそいつらが誰か一目で分かった。清澄の宮永と原村だ。向こうもこっちに気づいた。 その後私たちは二組で一緒に喫茶店に入り色々おしゃべりをした。 清澄の宮永。この化物のせいで私は辛酸をなめた。世間からも、宮永は鬼神、天江は魔神、そして 池田は疫病神、貧乏神と言われ私を苦しめた。でも福路先輩は傷ついた私を慰め、癒してくれた。 宮永のことを憎んでいたが、話してみるとおとなしい、意外といい奴だったので話は弾んだ。 そして、そろそろ話も終わり、という頃、原村が福路先輩に言った言葉。これが運命の転換点だった。 「今度清澄と風越で練習試合でもどうでしょう?私たちの部長も、それを望んでいます」 何でもない一言だった。原村にも他意は全く無かった。しかし先輩の表情が急に変わった。 「あなたたちの部長・・・うえ、いや竹井さんが私たちを?」 「ええ。機会があれば是非、私は待っている、と言ってましたけど・・ま、別に無理されなくても」 その場はそれで終わった。だけどその日の福路先輩は遠くを見て、心はどっかに行ってる感じだった。 その後、清澄との練習試合は美穂子さんがコーチに頼み込み実現した。 このとき私は福路先輩のことを美穂子さん、と呼ぶようになっていた。仲は深まっていた。 練習試合のときも、私に遠慮してくれたのか清澄の竹井とは挨拶程度の会話しかしていなかった。 昔何があったとしても、今は私が美穂子さんの恋人だし!美穂子さんの今の一番は私だし! そう思っていた。一時の安心感だった。 10月、私たちはやはり街でデートしていた。相変わらず私と美穂子さんはベッタリだった。 ふと前を見ると、一人でぶつぶつ何かと話している変な奴がいた。 そしてそいつが誰か一目で分かった。鶴賀の加治木だ。向こうもこっちに気づいた。 近寄ってみると、加治木の横には彼女の後輩がいることに気がついた。そいつの名前は忘れた。 私たちに負けないくらいベッタリしていた。そして私たちはやはり喫茶店でおしゃべりした。 ちなみに、この時期三年生は進路を決める時期だった。もう決まっている者もいた。 福路先輩ももう麻雀推薦で地元の龍門渕大学に入ることがほぼ内定していた。 「そういえば加治木さん、あなたは卒業後はどうなさるんですか?」 どうせ切れ者で麻雀打ちとしても一流のコイツにはいろんな選択肢があるだろう。 麻雀でも一般でもどんな大学にだって行けるだろうし、今は麻雀ブーム全盛期。 プロ入り、という手もある。とりえは麻雀だけの私はコイツの答えに興味はあまり無かった。が、 「私は、卒業後はアルバイトをしながら鶴賀の麻雀部のコーチを務める。金が足りなかったら 雀荘でも回って稼がせてもらうさ。そして食品衛生責任者の資格を取る。もう決めている」 私は驚いた。こんな優秀な奴がいわゆる雀ゴロになるのか?目的は何なのか聞いた。すると、 「私とこの東横桃子は桃子が高校を出たら二人で雀荘を開こうと決めた。だから飲食店で料理を学び 色んな条件の物件を見て回り、準備に取り掛かる。始めはかなりの借金スタートになるだろうが、 金が少しでもある分には困らない。だから今のうちに雀荘で資金をちょっと稼いでおこうとな」 その後も将来設計を語る加治木に、私は内心おかしいと思ったが、福路先輩は真剣な表情で尋ねた。 「あなたの言っていることは夢物語です。現実的じゃない。あなたは良い選択が沢山できる立場にいる。 なのになんでそんな不安定で世間から見下げられるような道を選ぶのですか?」 私もそうだそうだ、と思って聞いていた。確かに今は麻雀ブーム全盛期だとは言ったが 雀荘で儲かっているところなんかごく僅かだ。清澄の染谷の雀荘も今かなり危なくなっているらしい。 安定した道を選べばすべて無難なのに。そう考えていると、加治木は表情一つ変えず語った。 「君たちは運命を信じているか?私は信じていなかった。モモに出会うまではな。 まさに、運命的だったんだ。私はモモを見つけるために生き、モモは私に見つけられるために生き、 そんな確信があったんだ。こいつと一生何があっても寄り添って生きたい、そう望んだ。 そして私たちの運命の出会いのきっかけである麻雀。これに囲まれた生活を送りたいと思った。 それができるなら、他のどんなもの、裕福さや世間の評判など私はすべてくずのように捨てられる。 確かに、雀荘を始めたところで始めは客もそんなに来ない。もしかしたらずっと来ないかもしれない。 借金だけが重なるかもしれない。でもモモと一緒ならどんな状況でもきっと希望の道が見える。 きっと幸せになれる。富や名声という一時の幸福ではなく永遠の幸せが。それを信じたい」 運命・・・か。私は美穂子さんと出会えたことを運命だと思っている。 でも、美穂子さんは私で運命を感じたのか。本当にあの竹井じゃなくて私なのか。 自分が退けられることが怖くてとてもじゃないけど聞けなかった。 それにしても今の二人、本当に愛し合ってたな。もう結婚しちゃえばいいのに。 私も美穂子さんとそんな関係にまでなれるのだろうか。 それから一週間後、私は廊下を歩いていた。進路指導室から声が聞こえてきた。 「福路ィ!お前、大学の推薦取り下げたいだと?せっかく決まりそうだったのによォ!」 「すいません。もう少し考えたいんです。自分の将来について」 「東京でプロになるってのも悪かねーけどよ・・ま、お前の言うようにもう少し考えてみな」 コーチと美穂子さんの声だった。東京に行くだって?卒業しても長野にいて 私と一緒にいてくれるって言ってたのに・・・。私はあることを思い出した。 清澄の竹井久が東京でプロ入りするという話を。美穂子さんは竹井の後を追う気なのか。 この間加治木が言っていたことに触発されて。くそ、8月の宮永にしても、加治木にしても あれだけ麻雀で私を痛めつけたのにまだ飽き足らず私を落とすのか。くそっ! ・・いや、美穂子さんが他のところを向いているとしても、また振り向かせるのは私だし! こういう試練を乗り越えてこそ、本当の愛をつかめるんだ。がんばろう私。 しかし、それからの美穂子さんはやはり何をしていても上の空だった。 お互い忙しいときでもあったが以前よりデートできなくなっていた。 噂によると、清澄に行き竹井と会っているのでは?と言われていた。私は断固信じなかったが。 そして、美穂子さんとデートしていても、そんな様子の美穂子さんを見ていたり、 美穂子さんを信じてやれない私自身が嫌になり、喜びよりも悲しみの時間となりつつあった。 でも美穂子さんを好きな気持ちは変わらなかった。 11月、その日は一人で街を歩いていた。すると、やはり知っている顔の奴がいた。 そいつも一人で歩いていた。龍門渕の国広だった。向こうもこっちに気づいた。 私たちはこれと言って今まで会話したことも無かったが、せっかくなので、ということで 喫茶店に入って、色々話をした。まあお互い相手のことは大体分かっていた。 私はこいつが龍門渕透華の屋敷でメイドをやっている、というのもどこかで聞いていたし、 むこうは私を二年連続自分の所の大将、天江衣にカモられてた奴、それくらいは知っていた。 そして、そろそろ帰ろうか、という雰囲気になり、 「来年こそ私たちが勝つし!また県予選で戦えるときを楽しみにしてるから!」 私はそういって別れを告げた。ところが国広は暗い表情で私に返した。 「・・残念だけど、来年の龍門渕のメンバーに多分僕はいない。だからもう戦えない」 私はてっきりレギュラー落ちの話かと思った。私だって来年は厳しくなりそうだ。 来年には、中学では原村以上の実績を得て、能力は美穂子さん以上といわれるスーパールーキー 三浦が風越に入るという話だ。さらに母親が九州の麻雀プロである鮫島、超堅実派藤岡、 強引な手作り、鳴きで大物手をアガる川田、劣勢でこそ信じられない力を発揮する松岡。 こんな怪物たちが風越にみんな入学するのだそうだ。でも私は負けないし!返り討ちにしてやるし! だからお前も頑張れよ、と国広に言うと、彼女はやはりうつむきながら話し続けた。 「いや。そう言う事じゃない。うちは人数ぎりぎりだし。僕が龍門渕高の生徒で無くなる、という話だ」 どうしてなんだ?学業面で?金銭面で?私は差し支えない範囲でいいから聞かせてほしいといった。 その後国広が語った真相をまとめるとこのようなものであった。 自分と自分の主人、龍門渕透華はもはやそのあるべき関係を超えていた。愛し合っていた。 それは今でも変わらない。しかし、それは許されないことである、それを知ってしまった。 彼女にあらかじめ決められている結婚相手がいることを知った。それは決定されている事だった。 そのうちその結婚相手はやはり財産や将来の地位が目的で、彼女のことを好きではないことを知った。 世間の前ではともかく、二人きりになったときには絶対に彼女を不幸にさせるだろう、 そしてそのことは彼女自身も気がついている。でも口に出すことは絶対にない。受け入れる覚悟だ。 それをハギヨシという執事から聞いた。でも自分にはどうすることもできない。 だから自分は屋敷を出ることに決めた。不幸な彼女は見たくないし、その新生活に自分は邪魔者だ。 いつまでも自分がそばにいると彼女とその結婚相手の関係はますます悪化していくだろう。 嫉妬の目で見ている自分がいると。それは彼女をますます不幸にするだろう。 そして何より他の人に嫁ぎ永遠の愛を誓う彼女を、彼女が他の人と家庭を築いていくのを見たくない。 だから出て行く。二学期が終わるのと同時に転校する。幸運なことに、県外の私立校から 授業費タダの麻雀特待生として三学期から転入させてくれるという話がある。 転校して三ヶ月経てば大会にも出場できる。学生寮にも住まわせてくれる。 彼女には言っていない。最後まで言わずに突然さよならするつもりだ。未練は残さない。 そのような内容だった。私は納得できなかった。 「そんなのおかしいって!本当に好きならその結婚相手から奪っちゃえばいいんだし!」 「結婚相手だって、透華と長い時間いればいつか絶対透華を好きになってくれる。僕もそうだった。 僕は透華が本当に好きなんだ。幸せになって欲しいんだ。だから別れるんだ。 僕がすべきことは、透華のために一緒にいるんじゃなくて、透華のために去り行くことなんだ」 本当に愛しているからこそ別れる。私は絶対嫌だ。そんな切ない終わり方あってたまるか。 でも、私にもそのときはすぐそこまで来ていた。 1月。私は美穂子さんと二人で喫茶店にいた。美穂子さんが私にこう切り出した。 「華菜。私はあなたに謝らなくてはいけないことがあるの」 来た。私はどう対処しようか考えた。ここでの捨て牌ミスは許されない。 「竹井とのことでしょう。私は怒りませんから、何でも言ってください」 ストレートに攻めることにした。すると美穂子さんは竹井とのことについて語った。 「初めて会ったときから私は彼女に運命的なものを感じ、それが忘れられなかった。 華菜と付き合いだしてからも、心の奥底に眠っていたその人への思いを捨てきれなかった。 だから最近はあなたに隠れて会いに行っていた。華菜、私、あなたを裏切っていたわ」 やはりそうだったのか。覚悟していたとおりだった。美穂子さんは今にも泣きそうだった。 「それで東京へ行くことにしたんですか。竹井を追って」 私は追求を続けた。すると美穂子さんはぽろぽろ涙を流して話を続けた。 「・・・確かにそう。でも・・・その人、竹井久さんとのことはもう終わったのよ」 もう終わった?私は疑問に思った。美穂子さんが言うには、このようにして終わったらしい。 ある日美穂子さんが清澄に行くと、美穂子さんが本当に好きだった人、竹井久は彼女の後輩といた。 竹井がその後輩、染谷まこに向ける表情は美穂子さんに向けられたことの無いものだったようだ。 美穂子さんは痛感した。この人にとっての運命の出会いは私ではなくてあの子だったのね。 そしてその場を去った。それ以来、もう会うことは無かった。 そういう話だった。 「私は感情に流されて私を本当に愛してくれる華菜を見失っていた。ごめんなさい、華菜、私は最低ね」 美穂子さんは泣き止まなかった。私の「運命的」が一方的だったように、美穂子さんの それも一方的だったんだ。私はやるせなくなったが、次の瞬間、自分でも考えられないことを喋った。 「美穂子さんはその人が本当に好きだったんでしょう、だったらどうして簡単に諦めちゃったんですか」 あれ?私は何でこんなこと喋ってるんだろう。口が勝手に動くようだった。 「その人がどんなにもてたって、他の奴といたって、そんなの関係ないじゃないですか! 美穂子さんには魅力があります!これから奪っちゃえばいいんですよ!運命なんか関係ない!」 私は私がおかしく思えた。なぜわざわざ自分の首を絞めるようなことを言っているんだろう。 「華菜、そう言ってくれるのは嬉しい。でももう終わったことだし、なによりもうあなたを裏切れない。 私のわがままだったの。あなたのことも本当に好きよ!だからこの話はもうやめ・・・」 バシンッ! 「ふざけるなっ!!美穂子さん、あんた自分のことしか考えてないよっ!」 私は美穂子さんを殴ってしまっていた。また、凄い声で怒鳴っていたので客がみんなこっちを見てた。 「なああんたら・・・もう少し声のトーン下げてもらって・・・」 「智美ちゃんやめなって・・・あんま関わらないほうが・・・」 隣の席で二人組が何か言っていたが今はそれどころじゃない。出直してきな。 「美穂子さん!本当に私が好きだったら、何でもっと相談してくれなかったんですか! なんで頼ってくれなかったんですか!美穂子さんは今まで私の悩みを何でも聞いてくれた。 私のわがままを聞いてくれた。私に何回も裏切られても私を見捨てなかった! 私だって美穂子さんの悩みを聞いて癒してあげたかった!わがままを許してあげたかった! あなたがしてくれたように私もあなたを愛したかった!でもその機会は無かった。 美穂子さん、やはりあなたにとって私は恋人じゃなくて後輩に過ぎなかったんです。 美穂子さん、これでサヨナラしましょう。あなたはあなたの運命の人を追いかけてください」 ・・その後、美穂子さんは泣きながら店を出て行ってしまった。私に謝り続けながら。 残された私は、自分が何であんなことをいってしまったのか考えていた。 そうか。私は本当に美穂子さんのことが好きだったんだ。私といても美穂子さんは 本当に幸せにはなれない。だから本当にあの人を幸せにしてくれる人のところへ行かせようと思った。 愛してるからこそ、幸せになってほしい。あの国広と同じ結末になってしまった。 私、池田華菜17歳。失恋という言葉は知ってたけれど、こんなに寂しくなるとは思わなかった。 「・・・ワハハ、となりのやつら、終わっちまったみたいだな・・・」 さっきの奴が小声で喋っていた。今の私は無性に腹が立っていた。 「うるさい!店の外に出ろし!馬鹿そうな顔しやがって!この華菜ちゃんが相手になってやる!」 「あ~!?なんだこのドサンピン!上等だ!やってやる!」 どっかで見たことある顔だったけど、こんな奴知るか。私の猫パンチで倒してやる。 「やめてよ智美ちゃん!智美ちゃんのこと、嫌いになっちゃうよ!だからやめてよ・・・」 「・・・ごめん、佳織。私どうかしてたな。だから嫌いにならないでくれよ・・泣き止んでくれよ・・。 そっちのあんたもすまなかったな。気分を害したなら謝るよ。許してくれ」 結局何事もなく済んだが、店を出るときの私の心は喪失感と絶望に覆われていた。 「はは・・なにやってんだろ私・・やっぱ私は馬鹿だし・・・うう・・・ぐっ・・・」 その日わたしを包み込んだ夜空の満天の星を私は忘れることは無いだろう。 4月。新入生の入る時期となった。キャプテンとしての仕事は去年からなので慣れていたけど、 やはり一年生の最強五人組は強い。でも私は相手が強ければ強いほど燃えるし!にゃー! 先輩と別れた後、私はぬけがらのようになっていた。あのままでは私はダメになっていた。 でも、コーチが私を支えてくれた。普段からは想像もできないやさしい言葉で慰めてくれた。 今ではコーチのことを貴子さん、と呼ぶようになった。貴子さんと一緒に全国へ行くために頑張るし! それに、校内ランキングはかなり低いけど、私に懐いてくれる大江原というかわいい一年生もいる。 この間、大江原と一緒に帰ったとき、彼女からこう言われた。 「もし・・・池田キャプテンがよろしければ、私のことは下の名前で呼んでください。 そして・・こうやって毎日私と一緒に帰ってください!」 参ったな。私が一年のとき先輩に言ったことと全くおんなじじゃないか。 レギュラー争いも熾烈さを増しているし、ライバル校も今年も手ごわそうだ。 結局龍門渕の国広もそのままチームに残っている。あの後何があったか私には分からないけど。 でも相手もベストで来てくれたほうが私もやる気が出るし!華菜ちゃんはずーずーしーからね。 先輩。今私はとても充実しています。これもすべて先輩に出会えたおかげです。 先輩。私は先輩のことを思い出にしてしまえそうです。先輩もお体に気をつけて頑張ってください。 おわり 以上です。 本編の池田はキャプテンとくっつけることを期待
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#blognavi 夕方からずっと昼寝してしまってもう寝れません! そんなこんなでひまだからプレゼントの応募600件くらいやってしまった。 いまその応募受け付けましたメールが来て600件受信中! わやか! 1分間の10個くらい送っている。 もうストラップからノートPCからブランド物のバッグまで!ぴんからきりまで送ってみました。 カテゴリ [日常] - trackback- 2006年04月18日 04 31 46 名前 コメント #blognavi
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前ページ次ページマガツカオルタナティブ トリスティン魔法学院の朝は早い 昨日以来テンション上がりっ放しのまま頬を緩ませ踊るような足取りで早朝の散歩を行う ピンクの髪の少女 ちなみに少女の使い魔たる紫の髪のミステリアスな美女は命じられるまま少女の下着を洗 濯している ルイズのライダーに対する仕打ちは“まさに外道”と呼ぶに相応しいものだった 掃除、洗濯をやらせる 毛布も無しで床で寝かせる お茶が温いといって卓袱台をひっくり返す あるいはライダーの生来の被虐体質がルイズのSッ気を目覚めさせたのか ルイズの我侭に振り回されるライダーの困った顔を思い浮かべただけで 「子宮が疼くわぁ…」 ルイズの呟きを耳にした通りすがりのマリコルヌが派手な音を立てて顔から石畳に激突す るがライダー虐めのアイデアを捻り出すのに忙しいルイズは全く気付かなかった 食堂は朝食をとる生徒達で混雑していたにも関わらず妙に静かだった 正確にはその一角が異様な空気に包まれている 優雅に朝食を摂るルイズの傍らでじっと正座しているライダー ドジッ娘スキルを発揮したライダーがヴェルダンテの掘ったトンネルを踏み抜き洗濯を終 えたばかりの下着をドブにぶちまけてしまったためルイズは嬉々として食事抜きを命じた しかし見た目平然としているライダーの態度はどうにも興醒めである その時ルイズの脳裏に悪魔の考えが浮かんだ 「見ているだけでは辛いでしょう、特別にコレをあげるわ」 シチューの皿から鳥の皮を摘み出したルイズは湯気の立つ肉片をライダーの目の前でわざ とらしく取り落とす 「あら御免なさい、床を汚してしまったわね」 無言で立ち上がるライダー 「何処へ行くつもり?」 ルイズが声をかける 「はい、厨房で雑巾を借りてきます」 「ダメよ使い魔がご主人様の傍をはなれては」 困惑するライダー 「それでは床が拭けませんが?」 「脱ぎなさい」 静まり返った食堂内に上擦ったルイズの声が響き渡る 「分からない?貴女の服で床を拭けと言ってるのよ」 同時刻:アルビオン王国ウエストウッド 「ティファニアちゃーん!御飯まだー?」 「新入りのくせに態度デカイぞタイガー」 「タイガー言うな――――――――ッ!」 前ページ次ページマガツカオルタナティブ